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宝物(21)

   

     

           

「凄く不思議だね………なんだか…宝石箱をひっくり返したみたいだね………来年も再来年も……その先も…君とこのキラキラの雪を…二人で観られたらいいね…」

              

キラキラ光る雪を見とれていると、不意に後ろから体を包まれた

「…だ…れ…」

「…ごめん…」

「……」

「気づいてやれなくて…ごめん…」

「……入江…君…」

琴子の体をゆっくり自分に向けさせると、マフラーと帽子を少しずらした

「全部終わらせた…親父の会社の事も……全部…」

「……」

「だから…毎年……ここでダイアモンドダストを二人で観ようなんて言うなよ…」

「……ダイアモンドダスト…」

「お前が観てた、キラキラ光る雪……」

「……こんなに変わっちゃたのに…あたしって……よくわかったね…」

「当たり前だろ……いつも観ていたんだから……」

「……」

「…とりあえず……お前をみてくれてるご家族に挨拶…しないと……ここにいたら、凍える」

「……入江君……寒そう…」

「鈴村さんはこんなに雪があるなんて……言ってなかった…」

「……そうなの…」

「お前を泣かせた仕返しされたかな…」

琴子は片方の手袋を直樹に渡した

「サンキュ…」

素手になった手をつなぐと、直樹は自分のコートのポケットに入れてゆっくり歩きだした

    

       

     

「ただいま……」

「お帰り琴子さん」

「…お帰り…」

「あの…」

「入江さんだね、和希から連絡はもらってるよ」

「…突然すみません…」

「ほら、上がって、琴子ちゃんも」

直樹が来る事を事前に聞いていた、きよ達

雪は暖かいお茶を出してくれた

       

直樹は政臣達に挨拶をした

政臣は何も言わないが、きよは

「とりあえず、二人で話し合う必要もあるでしょ、琴子の出産も近い今日は、二人でちゃんと話なさい、私達が決める事ではないのだから、二人はもう成人した大人たなんだから」

「ありがとうございます、そうさせていただきます」

「琴子、自分の部屋でちゃんと入江さんの話を聞くんだよ、琴子は緊張しすぎると……混乱する…」

「はい……」

「後でお部屋に入江さんの分の布団届けるから」

「……わかりました」

     

琴子は直樹を自分の使っている部屋に案内した

離れの部屋は、まるで一人暮らしをしている様な感じだった

「…ちょっと待ってね…」

ふっくらとしたお腹を庇いながらストーブに近いた

「…俺がやるよ」

「……ありがとう」

直樹はストーブに火を着けた

「さっきまでいたから、そんなに寒くわないはずだけど…入江君には寒いよね…何か……温かい物淹れてくるね」

   

キッチンでお茶を淹れてきた琴子

「……ここにはお茶しかないの…ごめんね、妊婦はダメだから……」

「知ってるよ…」

小さなテーブルに向かい合って座ると、琴子はどう話しを切り出そうかとうつむいてしまった

      

「…俺がちゃんと伝えてなかったから…相談出来なかったんだろ?」

「えっ?」

「…ずっと好きだった…だけど一度も口にしてやらなかったから……子供が出来ても言えなかったんだろ…」

「……まぁ…そうなんだけど……相談して…生むなって言われるのも…怖くて…」

「そんなこと言うわけないだろ…」

        

「予定日…いつなんだ」

「……今月の15日前後なんだけど……」

「そうか…」

「……ここら辺は…雪が多いから……陣痛きたら……直ぐに病院行かないといけなくて……毎日…緊張してる……ちょっと小さくて……でも心配ないって言われてる…」

「うん…」

「……えっと…入江君は……大学…どうするの…」

「……とりあえず…復学の手続きした……」

「…理工?」

「……医学部」

「…よかった……また医学部で勉強できるんだね…よかった……」

       

手にしていたカップをぎゅっと握る琴子…

「……俺の為に…大学辞めたんだな」

「べ、別に……もともと…受からないのを入江君が教えてくれたから……なんとか行けてただけだし……じつは…単位ギリギリだったの……だからこの際…すっぱり辞めた方が……ね……仕事しながら育児だし…大学なんて行ってる場合じゃないから……」

「これからの事は…心配しなくていい…おじさんとちゃんと話して来たから……ほんとは出産までにおじさんも来る予定だったんだ……でも仕事でどうしても来られなくなった…俺だけでも行ってほしいと言われたんだ…」

「…そう…仕事なら…仕方ないよ…」

「…おじさんに預かった……」

直樹は側に置いていた鞄から、封筒を取り出した

「…これを預かった…確認してくれ…」

「…うん」

             

差し出された封筒の中身は現金と手紙

重雄はこっち来る予定にしていたが、予約でいっぱいでどうしても来られなくなった事

如月さんや直樹に話を聞いた事

二人でしっかり話をするように書かれてい

「……こんなに…」

「出産費用にって……俺が出す予定にしていたけど…俺のはこれから掛かる、生活に当てろっていわれたんだ……」

「………」

「出産後…直ぐに…といってもこれだけ寒いと…新生児連れて東京にって訳にも行かない…春になったら、東京にもどろ…」

「……でも…」

「おじさんには結婚したいと伝えた、子供が出来たからとかじゃない…ずっと一緒にいてほしいのは琴子だけだから……」

そういうともうひとつ封筒を取り出し、中身をテーブルに置いた

「おじさんが準備してくれた、婚姻届に戸籍謄本……あとお前の印鑑…」

「お父さん……」

「俺は今月の終わり頃から復学するようにしてある、出産には立ち会う予定で来たんだ」

「……」

「婚姻届は基本何処に出しても大丈夫だから、こっちで提出してもいい、出産後子供の出生届のこともあるし」

「……本当に…あたしでいいの…」

「当たり前だろ、お前じゃなきゃ……俺が駄目なんだ…琴子が側にいてくれないと…俺は本当の自分になれない…」

      

「これからは……俺が守るから…どんな事があっても、二人を守るから……一緒に…東京で暮らそう…」

「…うん…」

ホッとしたのか、琴子の目から涙かこぼれ落ちる

            

和希から手紙をもらってから、迷いはあった

直樹に知られたこと、直樹の子供ではないと言うつもりだと、和希に言っていたが、手紙には

(琴子が、違うと言うのなら、親子鑑定すると言ってる、ごまかす事は無理だから、入江が父親だとちゃんと認めてやれよ、子供のためにも)

そう書かれていた

どんなに違うと言っても、親子鑑定などされてしまえば直ぐにバレてしまう

子供が出来たから、結婚

        

それはそれでなんとなく、仕方なく結婚した……そう言われているようで、辛いと思ってが

今日初めて聞いた、直樹の気持ちに、ホッとした

       

母屋に行き、子供が産まれて春になるのを待って東京に帰る事を伝えた二人

きよは

「それが一番いい」

「じゃあ、大学の春休みには迎えに来ると言うことでいいんだな」

「はい、それまでよろしくお願いします」

   

「琴子ちゃん、よかったね」

「はい」

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コメント

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すご~く甘い入江くんが見えました。バックバグなんてあの入江くんがしちゃうんですね。赤ちゃんが産まれて入江くんちに帰ったら、紀子ママが狂喜乱舞して、パワーアップするのではないかと…パパも孫にデレデレでしょうね。それにしても、こんなに甘い入江くんは初めてではないですか?

No title

入江君の、登場やっと❓入江君、琴子ちゃんを、後ろからはぐ‼️彼も、やっと一息着けたと感じたことでしょう😃これからの、展開が、きになる😅すいません🙏せかして、紀子ママ、大好きな琴子ちゃんが、しかも入江君との、赤ちゃんまできっと、大喜びだろうな、次に、まつのは、紀子ママは、はで好きですから?結婚式とか言いそうv-212

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Re: タイトルなし

greenさんコメントありがとうございます

やっぱり言葉にしないと、伝わらないですよね
たった一言で琴子ちゃんも気持ちが楽になったでしょう
お父さんと入江君がきちんと話をして、琴子ちゃんの為にいろいろ準備までしてくれてますからね
本来なら……お父さんに叱られる所ですから

Re: タイトルなし

アメチさんコメントありがとうございます

夢中でダイアモンドダストを見ている琴子ちゃんに思わず!って感じでしょうね

それなんですよね…まだ入江家は何も知らないですからね
入江君はどうするのかね

確かに……こんなに甘い入江君は初めてかも!

Re: No title

なおちゃんさんコメントありがとうございます

やっと琴子ちゃんの所にやってきました!
ずっと会いたかったからね入江君

入江家は何も知らないので、入江君はどうするんでしょうね

Re: ありがとうございます

ルルさんコメントありがとうございます
やっと琴子ちゃんに会えました
そうですね、言葉にして気持ちを伝える事は大切ですね
琴子ちゃんにとってこれ以上入江君に嫌われたくないって思いもあったでしょうね
確かに美南ちゃん達とは真逆ですね

これからは周りに信頼される様に頑張ってほしいものです

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