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宝物(10)

     

      

直樹は沙穂子を駅まで送り、その足である場所を目指した、そこは相原家が新しく家を建てる前に住んでいた場所、琴子の小学校や中学校はわかっている、住所はわからなくても、この辺りで一番古い店に聞いてみれば何か解るかも知れないと考えたからだ

コンビニではなく、小さな商店に入り

店主に声をかけた

小さな商店と言っても駄菓子屋と文房具店、ここならきっと琴子が幼い頃に来ていた可能性が高い

直樹が相原琴子と名前を出すと、奥から出てきた女性が

「あ~琴子ちゃんね、数年前に引っ越してしまったよ」

「そうですか…」

「引っ越し先は、ちょっと聞いたんだけど……忘れてしまったわ」

「それでは…この辺りで、10年以上前にアメリカに行かれた家族は御存じですか?」

「鈴村さんね、お父さんのお仕事関係でアメリカに引っ越してしまったけど、お嬢さん達は帰国したと聞いたよ、お姉さんはたしか日本の大学に入って今…産婦人科医になって開業してて、妹さんはまだ大学生で、大学は日本の大学に行きたいって帰国してるそうよ」

「……名前は…わかりますか…」

「お姉さんは結婚されてしまったからわからないけど、光希さんていう名前で、妹さんは和希さん、姉妹でも対処的な女の子達でよく覚えてるわ」

「そうなんですね…」

「そういえば、琴子ちゃんとも仲良くて、いつも三人姉妹みたいに一緒だったの、だから二人が引っ越してからしばらくは琴子ちゃん毎日泣いていたわね……」

「ありがとうございました…」

「いえ、皆さんに会えるといいわね」

「はい…」

       

      

鈴村和希……大学生…何処の大学だ……

姉は光希、開業…産婦人科医…………

   

帰宅途中の公園の前で立ち止まった直樹

重樹の退院パーティーの後、琴子がここで誰かと話していたことを思い出した……ずっと引っ掛かっていた…日々の仕事に追われて忘れかけていた会話

きっと琴子と話していたのは和希

和希が言っていた、言葉……

     

    

      

🌾🌾

「こんにちは」

「あ、蓮君いらっしゃい、美南ちゃんなら今、新君のオムツ替えてるよ」

「琴子」

「和希君!久しぶりだね」

「たまには琴子の顔をみたくてさ」

「ありがとう」

「だいぶ目立つ様になったな…」

「うん、妊娠さんって感じ?」

「いらっしゃい、二人とも上がって、今お茶を用意するわ」

「きよばあちゃんと政臣じいちゃんは?」

「畑に行ってるよ」

     

「ちょっと車から荷物下ろしてくるよ」

「じゃ、縁側の窓開けておくね」

久しぶりにみた琴子は、明るく元気にしていた、ふっくらしているお腹を隠す事もしていない

「蓮君!」

「美南、新、ただいま」

「お帰り~」

窓を開けると、和希が

「蓮、これ運んでくれ~」

「あ!そうだった!」

と慌てて縁側に置かれた荷物を運んでくる

「なに!東京から運んで来たの!」

「ご苦労様」

「美南の両親と蓮の両親から、二人の冬服だと」

「うわ~嬉しい~」

「それからこれは琴子の冬服な、姉貴のお下がりだけど、マタニティーは限定でしか着ないだろ、新品同然だから使ってくれって」

「ありがとう、光希さんにお礼言わなきゃね」

       

       

     

🌁🌁

忙しいで帰宅すると、琴子が使っていた部屋に向かった

琴子が出て行った後、何一つ動かしていない、今でも琴子がひょっこり現れるのではないかと思うほどの部屋

琴子の使っていたデスクやチェスト、ドレッサーの引き出しを開けるがないもない……

クローゼットの棚や引き出しも空っぽ、当たり前の事なのに…何か手がかりが在るのではと隅々まで見る直樹

ベッドと下にあるデッドスペース、琴子が以前雑誌等を置いていた事を思い出しベッドの下を覗いた

暗くてよく見えない……手を伸ばし触れたのは折り畳まれた紙

     

「なんだ…」

小さく畳まれた用紙を開く直樹

    

[  人工中絶、堕胎手術同意書  ]

    

「…………」

    

琴子が不自然なほど、直樹を見なかったりわざわざ時間をずらしてまで、会わない様にしていた理由

そして誰にも居場所も教えず、姿を消している理由を知った……

     

これを持って相原の店に行ったとしても、きっと琴子の居場所処や妊娠していることも教えてくれないだろ…

新しい住所すら教えないのが何よりの証拠……入江家の人間にバレる訳にはいかない…重雄の性格から、これから徐々に距離置いて…入江家とは関わらない様にするだろ、そうなると琴子が子供を生んだのかさえ解らなくなる……

今は、5ヶ月から6ヶ月になるはず…

            

             

「お兄ちゃん……どうしたの…」

「…何でもない………」

「ふぅん」

部屋から聞こえた物音に裕樹が部屋を覗いた、直樹は手にしていた、用紙をポケットに隠して部屋をでた

「……まだ…あの時のままなんだね…」

    

直樹は部屋に戻り、もう一度用紙を広げた

「……なんで…こんな大事な事……隠してんだ…なんで……一言…言ってくれなかったんだ………」

                  

きっと病院でもらってから、迷っていたはず

手術には、自分の同意がなければ受けられない……誰かに頼んで手術を受けるなんて不可能だ、書名した人間も医者も琴子自身も罰せられる可能性が高いし何よりこの用紙に書名してほしいなんて、頼める奴はいない、琴子の周りの人間で、こんなことを秘密にしておける人間はいない

    

琴子を探しだして…確かめるしかない……

これ以外の手がかりと言えば、和希、光希姉妹

姉が産婦人科医なら、きっと琴子はその病院で診てもらったはず

結婚して名字が、代わっているから鈴村では探せない

   

アニメ部は琴子と親しくしていた人間は全て当たっていたが、誰も知らなかったアニメ部以外に琴子を探している人物もいる

その人は何の為に琴子を探していいるのかもわからない……

もしかしたら大泉…琴子の事を何か知って探しているのか……それならもっと慎重に探すはず……

     

直樹は用紙をファイルに挟み、鞄の中にしまうと、パソコンを開いた

         

           

                   

🌾🌾

     

「琴子」

「なに?」

「……どう、気分的に落ち着いてるか?」

「そうだね」

「マタニティーブルーになってないか、心配してたんだぞ」

「え~マタニティーブルーになんてならないよ、毎日散歩したり、今は冬支度とかいろいろあるからね」

「運動は大事だって姉貴が言ってた」

「きよばあちゃんにも言われてる」

「……もう6ヶ月になるのに、あんまり目立たないな、ちゃんと食べてるのか?」

「食べます~、それにお医者さんにも順調だって言われてます」

「ふぅん、美南の時はもっと大きかった気がしたけどな……」

「和希君、それ私が太ってたっていいたいの?」

「まさか」

「琴子は、もともと細身だからだろ、今ちょうどいい体型なんじゃないか?」

「そうね、お母さんが心配していたもの、あんなに細くて大丈夫かって……」

「……え」

「お産の時ね、骨盤が狭いと自然分娩は難しくて、帝王切開になることもあるのよ」

「そうなんですか…」

「でも、そんなこと言われてないよな」

「言われてないですよ」

「なら、肉付きが少ないだけだな」

「病院では。食べ過ぎて体重が増えるのは良くないって聞いてるよ、お腹に赤ちゃんが居るから太るなんて考えちゃダメって、赤ちゃんプラス羊水が増えるくらいがちょうどいいって、そういわてもわかんないんだけどね」

「なかなか難しいんだね」

「そうだよ、私もきよばあに、ゆっくりでいいから運動しろって言われてたもん」

「そうなんだ…ごめんな、一緒に散歩してやれなくて…」

「気にしないでよ、これからは新と三人で沢山散歩してくれたらいいから」

   

まだ、生まれて間もない新を抱いている蓮

おぼつかない様子に、美南が手を添える

「……やっぱり…緊張して……肩こるな…」

「慣れたら平気だよ」

「そうかなぁ…」

「だって誠也さんなんて、片手で抱っこしてるし」

「蓮のその細い腕と一緒にするな」

      

「琴子ちゃんも後数ヶ月もしたらお母さんね」

「そうですね、なんだか楽しみ」

「楽しみって思えるなら、心配なさそうだな」

「最近ね、赤ちゃんの肌着とか少しずつ揃えてるの、それ見てると楽しくて」

「そっか」

美南と蓮を見ながら微笑む琴子に少し安心する和希

       

    

      

   

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コメント

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No title

入江君やっと?間が戻りましたか‼️遅いよと言いたいが、わかっただけでも?その前に、大泉に、知られる前に琴子ちゃんを、守らないと⁉️光希さんや、和希さんが、今、守ってくれてるけど🐤何か、入江君なりの引っ裂くあるのかなv-496

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No title

琴子ちゃんにやっとたどり着きましたね?入江家が大変なことを知っている琴子ちゃんが、妊婦さんだなんて言うわけないじゃん!!それは入江君が一番わかることなのに?でも、これから、大泉にこのことがばれたら大変のことになる?沙穂子さんが、ばらさない手保証はないから、その前に何とかしないと、今は鈴村姉妹がなんとか、かくまってくれてるみたいだけど、大泉は、何するかわかりませんよあの、タヌキ爺さんv-82

Re: No title

> ルナさんコメントありがとうございます

やっと入江君動きはじめました…

あの日、あの公園で、二人の間に割って入ればこんな事にならなかったのに……と思いながら書いてる自分に笑えます(笑)

まだお嬢様の動きがわからないですからね
どちらが先に和希や琴子ちゃんに近づけるかですね

Re: タイトルなし

> greenさんコメントありがとうございます

はい、琴子ちゃん順調です
周りの協力のおかげですね

入江君ようやく事態に気づきましたが…琴子ちゃんの行方は誰も知らない…探し様子がない状態ですけどね……

Re: No title

>なおちゃんさんコメントありがとうございます

やっとです……本当に遅いよ!!ですね

沙穂子さんより先に琴子ちゃんにたどり着く為の秘策…
どうですかね……

Re: ありがとうございます

>ルルさんコメントありがとうございます

本当にそれです!それを言わせないような態度をとっていたのも事実ですからね

見合いをすると知った時点で琴子ちゃんとしてはもう、身を引くしかない状態だったし、その後で気づいた妊娠ですからね、嬉しいと思ったのも事実だけど、その後はものすごい後悔と悲しみだったでしょうしね

確かに(笑)原作なら、さっさと結婚して毎日琴子の経過観察してそうですね(笑)

Re: No title

> なおなおさんコメントありがとうございます

やっと琴子ちゃんの妊娠にたどり着けましたが…
大泉に見つかる前になんとか琴子ちゃんを見つけられるか……
和希達姉弟の事はわかったけど、どこに居るのかわからない状態ですからね


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初めてイタズラなkissのIF物書いてみました