🌨️❄️🌨️❄️
チラチラと初雪が舞う外を眺める琴子
暖かい蒔きストーブの上におかれた、ケトルから湯気が上がっている
パチッパチッと時折ストーブからはぜる音が不思議なのか、新はベビーベッドからストーブの方を見ている
寝返りをうつ様になり目を離すと転がっているため、ベビーベッドの中に入れられることが多い
「新~、不思議か~」
誠也がベッドに近づくと手を伸ばしている
ひょいと持ち上げる誠也
「お前のママは何処だ?」
「美南ちゃんなら、お風呂当番だよ」
「そうか」
「お茶淹れましょうか?」
「あぁ、よろしく」
琴子がお茶に淹れに行っている間に雪が帰ってきた
「ただいま…寒いはずだね…」
「お帰りなさい、お疲れ様」
「雪さんお帰り~」
「ただいま、お風呂掃除していたの?」
「うん」
「お疲れ様雪さん、美南ちゃん、お茶を淹れたの、みんなで飲みませんか」
「そうね、ありがとう」
四人でテーブルを囲みお茶を飲みながらのんびり過ごす事ができるのも今のうち、雪が積もれば誠也は雪かきに追われると笑っている
美南は
「…雪さんや誠也さんは…子供は作らなかったの?」
「ん~欲しいと思った事もあるわ、だけどリスクが高いから…お母さんが気にすることないって言ってくれたの、誠也さんのお嫁さんになってくれただけで十分だって、そう言われて正直ほっとしたわ」
「誠也さんは何でそんなに遅く結婚したの?」
「……美南は痛いとこばっかついてくんな…」
「誠也さんね…自分は結婚しないって、言ってたのよ…」
「「え?」」
「……うちは姉貴達が居るだろ、片方は離婚…片方は旦那の両親と揉めてた……そんなの見てたら…結婚する気にならないだろ……」
「そうなんだ…」
「上の真ねぇちゃんは気が強くて、じぃですら頭上がらない……正論を言う人だから……人の考えより自分の方が正しい…そう思ってる人だ」
「そうなの、そんな風に見えなかった……」
「下の結ねぇちゃんは、自由人なところがあって…旦那の親と揉めた時も、だったら離婚でも何でもどうぞ、その代わり子供は連れていく、慰謝料と養育費下さいね……って家を出た事もあった、向こうも跡取りの孫も連れて出ていかれたのと、世間体気にしてなんとか話し合おうと言ってだけど、旦那に先に死ぬ親をとるか、この先のある子供達をとるかはっきり知ろって、結果…親がいちいち口出しできない所に引っ越したわけ……」
「たくましい…」
「まぁな……」
「それで、婚期逃したわけ…」
「なんだか……誠也さんのお姉さん達って…凄いね…」
「………」
「下のお姉さんて、ポワンとしてましたよね」
「……まあな……いつも一歩引いて…俺達をみてる、黙っていることが多いし本当に……あの人は一番自由人だったよ、高校は勝手に辞めてたり、フラッと居なくなって二年くらい連絡してこなかったり…何をしてたのかと思えば、仕事してた、お金貯まったから辞めたって帰ってきたり……じいより自由人だったよ…」
「人は見かけによらないね……」
「きっと怒らせて一番怖いのも結ねぇちゃんだ…」
「「…え?」」
「中学の時……結ねぇちゃんの同級生に…わざと足を引っかけられて、手首の骨を折ったんだ、次の日相手が悪びれる様子もないのがしゃくにさわったねぇちゃん…その人の所に行って、無言で腹におもっいっきり蹴り入れたんだ…」
「「…………」」
「あれは……さすがに驚いた…俺、中学まで本当に小さくて……小学生に間違われるくらいだったんだ、だから先輩にいいように、遊ばれてたんだ…」
「……ぜんぜん見えない…」
「上は頭が切れて、運動もそこそこ出来るねぇちゃんと、外見はおっとりして優しい雰囲気なねぇちゃん……ばあに言わせたら、結ねぇちゃんは要領が良かったらしい、きっと運動も真ねぇちゃんより出来るのに、学校じゃ手を抜いてた、その証拠に、うちでじいとキャッチボールしたり、逃げ足も速かったからな……」
「同じ親から生まれた姉弟なのに……ぜんぜん違うんだ……」
「じいの話じゃ、真ん中ってのは、挟まれてるから要領よくやるんだって言ってたな…」
「あたしは一人っ子だからぜんぜんわかんないや…」
「私も…」
誠也の姉真は4つ上、結は2つ上になる
真は、文字通り真っ直ぐな性格
結は、おっとりしていて親しみやすい性格
誠也は、明るく誰にでも優しい性格
それゆえ真と誠也はぶつかる事が多い、誠也の優しい性格が仇になり、姉真から自分の意見を持てと怒られる事もしばしば…それを仲裁するのが結、誠也がなかなか言葉出来ない事を結が真に伝え、真がなぜ誠也に厳しく言うのかを、誠也に分かりやすく説明する
「さてと……仕事行ってくる」
「気をつけてね」
「…気をつけてねって…倉庫に行くだけなんだけど……」
「じゃ、何かお手伝い出来ることがあったら呼んでね」
三人になると美南は
「夏にに来た時…真さんてそんな風に見えなかったけどなぁ…」
「そうね、真さんは丸くなったって誠也さん言ってたわよ」
「やっぱり年齢重ねたから?」
「…真さんが離婚してるのは、結さんが言ったからなの……真さんは元々の旦那さんのご両親と同居していたの、旦那さんのお母さんは気性の荒い人でね、気に入らないと真さんに当たってたの ……言葉だけでなくて……ホウキで体を叩かれたり……お皿とか、近くにある物を手当たり次第投げつけたり……その頃はきよお母さんは我慢するように言ったそうよ……昔から嫁姑問題って絶えないものだし…だけど結さんは違ったの、そんな環境で育つ子供が心配で可哀想……自分の母親がいじめられてる、虐げられてる…弱い立場の者には何をしてもいい……そんな風に思うようになれば…子供達だって…母親をそう扱うかもしれないって…」
「じゃ、それを見ていた…旦那さんはどうしていたんですか……」
「…何も…その場から居なくなるの……自分の母親が暴れてるのに止めることもしない…真さんをかばうこともしない……結さんは父親が母親をかばっていれば、子供達だって、自分達の母親…弱い人わかばうことを学べたかもしれないけど……そうじゃなかったから……結さんは離婚をすすめたの、それからだそうよ真さんが丸くなったの」
「なんか複雑……」
「そうね……いろんな人がいるように、家庭もいろいろだからね」
🎄🌃🎄🌃🎄
イルミネーションで飾られた街を歩いていた、和希
いきなり腕を引っ張られた
「…鈴村…和希さん…」
「………」
腕をつかんだのは直樹だった
「…放せよ…」
「聞きたい事がある…」
和希を見つけて追いかけて来たのか、少し息の上がっている直樹
「……なんだよ…」
「ここじゃ話せない……場所を代えたい」
和希は直樹の腕を払いのけ、コートを直した
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